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 兵庫県宝塚市の北,三田市の東,能勢電鉄日生線の終点に猪名川町がある. 猪名川町には鈴木政夫製作のたくさんの石彫作品があり,日生中央駅から西へ約300mの所から 伏見池公園まで1.7Kmほどは,120余点の石彫の置かれた「彫刻の道T」と呼ばれている. また日生団地の中にも多くの石彫作品が置かれている.
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 鈴木先生と一緒にお話をして居る時「日本人の心の問題はこれでよいのか ? 日本の町造りはこれでよいのだろうか」と言う議題が時々出る.

 結局なつかしい故郷. いい町だったと思い起こされる町,そうした環境作りが大人の我々の仕事ではなかろうかと言う事で落ち着く.

 昭和四十八年頃,鈴木先生の第一集「生活の中の石彫」作品集を見ておられた新星開発(株)の儀賀社長さんから,兵庫県の猪名川町から川西市にかけ目下110万坪,三万人のニュータウン造りをしているが,新旧いろいろ世界の町を見て歩いたが,今度の町にぴったり入る様な故郷を思い出させる様な造形は何一つ見当たらなかったが,鈴木先生の作品には暖かさがある. これを何とか町造りの一環に組み込めないかとのお話で,早速鈴木先生を囲んでの懇談となり,それが今回の第二集を作るきっかけとなった.
 人間を大事にして行こうという作者と住む人達の気持ちを大事にした町造りを目指す日本生命さんとのなかなか実行し難い新しい町造りの中の石彫郡となったと思って居ます.
 山を開き森を伐った新しい造成地で,お互いに始めて寄り集まった人々の中に故郷を感じさせる事に無理があり,又故郷は周囲から押し付けて出来るものでない事は百も承知していながら,少しでもその中に安らぎを感じ,うるおいを持たせ,明日への活力を得るよすがとなってもらいたいと言う両者の熱意と,作品がそのものからかもしだす,美しさ,ほほえましさが,この阪急日生ニュータウンに住む人々の心の中に一味違う故郷感となって暖かい気持ちの通った町造りに発展して居るように思います.
 
 私は鈴木先生が石彫りと言う非常に体力のともなう仕事をしながら,好きな酒も節して大衆の目,人間の心と共に生きていきたいと願う心意気に感激し,又その努力が石彫刻に於ける日本の最高の地位を得たものと信じて居ます.
 美術家と生活,そこにはまことに現実的な闘争ががある. それを乗り越えて石彫の美のためにあえて苦しさを選んで進む鈴木先生の一貫した態度に敬意と賛辞を惜しみません.
 この作品集が町造りを目指す多くの方々への一つの波紋となれば幸せです.
                      昭和五十年八月十六日記
鈴木政夫 『町造りの中の石彫』作品集 出版に寄せて
                   中川藤一
鈴木政夫 町造りの中の石彫作品集 
昭和50年10月1日 発行
編  集 中川藤一
発行者 中川藤一
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彫刻の道T